ダークソウル/ リングコレクション: ハベルの指輪について

2017-04-13
さようなら、ドッスン!


本日は「ハベルの指輪」についてお話しします。

「ダークソウル」一作目では、城下不死街の“ハベルの戦士”を倒すことで手に入ります。塔の螺旋階段を降りていくと、ズングリムックリがノシノシ歩いてるんですよね。試しに一発殴ると硬い! なんだこいつはと思った瞬間、巨大な棒に叩き潰されました。どうしても勝ちたくて何度も戦いを挑み、個人的に序盤の山のひとつでした。

後ろに回りこんだと思っても、このデカい棒(大竜牙)が一切の容赦なく襲い掛かってきます。

「ダークソウルIII」では、ファランの塔にいるはぐれデーモンを倒し、入手したソウルをクールラントのルドレスに持っていくことで手に入ります。ルドレスにはじめ気がつかなかったのは、私だけでしょうか。

装備効果は「最大装備重量を上げる」。重い防具や大きな武器を装備すると動きが鈍くなり、ローリングもままならなくなります。いわゆるドッスンローリング。この指輪を着けるとそれが緩和されるので助かります。カット率や攻撃力の高い装備は、たいがい重たいですからね。

なぜこの「ハベルの指輪」を第二弾にチョイスしたのか?

ひとつは、形が特徴的だから。「ダークソウル」にはたくさんの指輪が登場します。シンプルなもの、複雑なもの、ありえないもの、バリエーションは本当にさまざまです。そんな中で、ひとつ例を挙げれば「太陽の長子の指輪」のようなシンプルな形のものをシリーズ初期にラインナップさせると、ちょっと「ダークソウルの指輪だ!」とはわかりにくいですよね。(愛用されている方、すみません)

太陽の長子の指輪

ひとつは、役に立つから。プレイスタイルはさまざまですが、初見で純魔プレイの方ってまず多数派でないのではないかと……。多くの方は、はじめはしっかり盾を構えて、おそるおそる進むのではないかと思います。さらに安全を期するとカット率の高い防具を身に着けたい。でも身軽ではいたい。ハベルの指輪はそんなときの強い味方です。

ひとつは、かっこいいから! 普通に指輪として身に着けて、日常で違和感がありません。わかる人にはわかるけど、わからなくても――言葉は良くないですが、安易に言うと、いわゆる“おたく的”な――“キャラ指輪感”が無い。これは重要なポイントで、TORCH TORCHのコンセプトにはっきりと合っていました。

ここで裏話を。
じつははじめ、「緑花の指輪」と「ハベルの指輪」で、二番目と三番目の順序をどうしようかと考えていました。緑花はとても役に立ちますし、シリーズすべてに登場します。最初期からラインナップに入れていました。

緑花の指輪

しかしいざ動き出すと、緑花の指輪は難しいことがわかってきました。花びらの緑の石(32枚!)はどうするのか。天然石をこの形に合わせて削り出すのか、エポキシ樹脂で作るのか、クリアのカラーレジンで作るのか。やれたにしても値段がとんでもないことになるし、着用可能な大きさにおさめることもできるかどうかわかりません。涙型の緑のスワロフスキーを見つけましたが、花びらの数を省略しないといけないし、省略しても大きさがえらいことになります。指輪のウデにはさらに一輪の花が見えて、反対側にもあるでしょう。構造を検証するほどに、パーツ数が増えていきます。

なんとか作りたいと検討を重ねましたが、序盤からこんな値段の商品は出せないと判断し、緑花の指輪は一旦あきらめることにしました。――欲しい方には申し訳ありませんが、そんなわけで今のところ「緑花」の今後の予定はありません。欲しかったのになあ(私が)。

話を戻します。

ご存知の通り「ダークソウル」の指輪は、プレイヤーの見た目には反映されません。姿かたちがわかるのは、インベントリ画面の一枚の絵だけです。

原型制作は、宮田夏帆さんにお願いしました。幅広くものが作れる上手なフィギュア原型師さんで、「ダークソウル」への造詣が深い。安心してお任せすることができました。「アクセサリーの原型師さん」というとエレガントなものを作る勝手なイメージがありましたし(今ではその考えはかなり変わりましたが)、私自身がフィギュア畑というのもあって、まずはフィギュア造形の共通言語を使って進めていったほうがよいだろうと思ったというのもあります。

基本は絵の通りに、石座とウデのバランスを調整しつつ、イメージを変えずに着用可能なポイントを探り、二次元を三次元に落とし込んでいただきました。

問題は、やはり質感です。
この中央の丸いものは何なんだろう? まず素材がわかりません。天然石だとしたらヘマタイトだろうか。周囲のごつごつした部分もわかりませんが、どちらにしろ造形で再現するので原型段階では悩まなくて良いでしょう。まずは真ん中の球の正体が知りたい。

悩んでも仕方がないので、フロム・ソフトウェアさんに伺いました。すると、「“岩のような”ハベルですので、岩を意識した質感にしてください。」との返答が。岩のようなハベルだから岩。考えてみれば、なるほどそうです。ハベルの指輪の真ん中にツヤツヤの天然石が嵌っているわけがありません。

何回かテストしないといけないかなと思ったら、なんと一発で決まりました。シルバーを鋳造して燻した、これだけです。光沢を残しつつ、いい感じの「岩感」が出てくれました。「岩っぽくしたいんです」と言っただけなので試行錯誤のドラマは特に生まれませんでしたが、職人さんって凄いです。

周囲のゴロゴロした部分は真鍮に銀古美加工を施して、いい風合いが出ました。

ウデの部分は真鍮にアンティーク仕上げです。フロムさんからは「綺麗にしないでほしい」というリクエストがあったので、使い込んだ雰囲気が出るようにウェザリングを施しています。元を知らない人が間違って買ったらクレームになりそう。新品なのにイイ感じに汚れていますよ。

「銀猫」同様、全体的に縮小したレディース版も用意しました。女性、指の細い男性に違和感なくご着用いただけます。岩感はあります。

比較するとこんな感じです。小さくなっても印象はごつい……しかし、

私自身も少し意外だったのですが、思った以上にフェミニンな装いに合いました。敬遠されずに、ぜひ!
期間は未定ですが、ただいま豆魚雷高円寺店にサンプルをディスプレイしております。スタッフにお声がけいただければご試着も可能です、お越し頂ける距離の方はどうぞご覧にいらしてください。

ご予約はこちらからどうぞ。
https://www.torchtorch.jp/darksouls/havels_ring.html

今後のシリーズについて、「鉄の加護の指輪」は近くお見せできると思います。続く未発表のひとつは原型が完成し、さらに続くひとつは原型完成まであとひと息です。

特にリクエストの多い指輪があるのですが、しっかり進んでいます!
欲しい指輪がありましたら、ぜひ→Twitterこちらへリプライでリクエストしてください。

(ひとつだけ……ロイドの剣の指輪は、危険なので出せません。盾も危ないですね。リクエストがありましたので、ごめんなさい。)

ぜひこのシリーズを楽しんでくださいね。
それでは。

Harada