TORCHTORCH + genDesign + 植田明志

TORCH TORCH + genDESIGN + 植田明志 人喰いの大鷲トリコ アートスタチュー
ご予約はこちら Mamegyorai Online Storenewwindow
確かな躍動を湛えた造形、量産品でありながら、塑像作品ならではの質感と温度 ゲームの中のトリコよりも頼もしさが滲み出ており、 造形という表現を通じて新たな魅力を引き出していただけたように思います トリコという存在に新たな強度が加わりました 上田文人 [ゲームデザイナー]

世界中で多くのファンに愛されているアクションアドベンチャーゲーム『人喰いの大鷲トリコ』。
本作品の開発を手掛けた、上田文人氏率いるゲーム制作スタジオ「genDESIGN(ジェン・デザイン)」完全監修のもと、
造型作家・植田明志氏が原型・彩色見本制作を務めた大型スタチューが登場です。

TORCH TORCHが企画・プロデュースする本作品は、『トリコ』の大型スタチューにおいて世界で初めて一般ライセンスを取得。
誰かの宝物となることを願い、心を込めてお送りします。

キャラクターの再現にとどまらない、記念すべき無類のアートピースを、ぜひじっくりとご堪能ください。

The Last Guardian/ Trico: Art Statue Special Movie
Coming Soon
人喰いの大鷲トリコ アートスタチュー巡回展示

人喰いの大鷲トリコ アートスタチュー
巡回展示決定!

撮影に使用した彩色見本は、2025年9月25~28日に開催される「Tokyo Game Show 2025」出展のTORCH TORCHブースを皮切りに、TORCH TORCH 渋谷PARCO店、心斎橋PARCO店、さらに11月にオープン予定の新店舗・名古屋PARCO店などで巡回展示予定です。この機会にぜひ、実物をご覧ください。
スケジュールはTORCH TORCHの公式SNSにてお知らせいたします。

X: @torchtorch_jp Instagram: torchtorch

今まさに崩れゆく塔と、頭上に少年を乗せて次の足場を見据えるトリコ。その一瞬をダイナミックに表現しました。

巨獣の神秘性、荒々しい躍動感、そして愛らしさなど、トリコの持つ複雑な個性を余すところなく立体化。

装束に空気をはらませて必死に羽毛を掴む少年の姿からは、彼の感じる風圧までもが伝わってきます。

着地の衝撃を受けて崩壊する塔の表現は臨場感満点。粘土や瓦礫片を用いた造形により、がらがらと音が聞こえてきそうなほど。

下方向へ白くグラデーションさせることで空気遠近法を表現。台座の下に広がる空間を感じさせます。

頭上に太陽があるかのように全体の明暗を緻密に設計した配色は、植田明志氏の真骨頂です。

ジェン・デザイン/genDESIGN

ジェン・デザインgenDESIGN

2014年設立のゲーム制作スタジオ。代表を務めるゲームデザイナー・上田文人氏のもと、かつてソニー・インタラクティブエンタテインメントに在籍し、『ICO』(2001年)、『ワンダと巨像』(2005年)などの開発に携わった主要スタッフが中心となっている。 2016年に発売された『人喰いの大鷲トリコ』は、第21回文化庁メディア芸術祭にてエンターテインメント部門・大賞を受賞。その他、国内外の数々のゲーム賞を獲得し、今なお世界中のファンに愛され続けている。 2024年12月には、The Game Awards 2024にて新作(タイトル未定)のティザー映像が公開され大きな注目を集めた。

X
instagram
facebook
youtube
植田 明志/Akishi Ueda

植田 明志Akishi Ueda

造形作家。2019年、中国・北京にて個展『祈跡 For praying』を開催し、成功を収める。2024年には、作家活動10周年を記念した展覧会「植田明志10周年記念展『DECAGON』」を東京・名古屋・大阪で開催。2025年4月にはオーストラリアにて個展『Memory of Landscape』を開催し、海外でも注目を集めている。 作品集『COSMOS 植田明志 造形作品集』が発売中。現在、名古屋芸術大学にて非常勤講師を務めている。

X
X

Behind the Statue
Interview with Akishi Ueda – Artist

作品の制作のきっかけと、そのプロセスを教えてください。

5年ほど前、食事の席で原田さん(原田隼。TORCH TORCHディレクター)に「トリコの立体物を作ってみたい」と言ったのが始まりでした。
僕はふだん造形作家という肩書きで、オリジナルの一点物の作品を粘土で作り、個展などで発表するという活動をしています。版権キャラクターを仕事で造形するという経験はありませんでしたが、もしも自分が好きなキャラクターを作るならと考えたとき、一番に思い浮かべるのはトリコだったんです。
原田さんも『トリコ』の大ファンで、ずっと商品化を夢見ていたそうです。「それは植田さんの作品としてもキャラクターフィギュアとしても成立する、すごい企画です」と言ってくれて、盛り上がりました。

制作風景 植田氏のオリジナル作品。左から、「レム」(2015年)、「夕焼け犬の祈り」(2019年)、「虹の人」(2016年)

ハードルは高いけれども企画申請を挑戦しようということで、ラフイメージを作ることになりました。とにかく原作にリスペクトを示したくて、ゲームのパッケージからインスピレーションを受けたラフスケッチを渡しまして。それからしばらく経ち、原田さんから突然電話がきたと思ったら、「植田さん! 申請が通りました!」って言われて。そこからは密にやりとりをしながら細部を詰めていき、最終的な構成が決まったときには「これを作ったら絶対すごいものになる!」と感じたのを覚えています。

ラフスケッチ 植田氏が最初に描いたラフスケッチ(左)。これを元に原田が立体化を想定して清書し、構成案となった(右)。初期案ではトリコが少年を口に咥えていたが、苦しそうな印象が懸念され、少年を頭上に乗せることになった。

今回の作品は現時点で、世界で初めて一般ライセンスを取得した『トリコ』の大型スタチューになると聞きまして、『トリコ』を公認で制作できるというのは最初のほうこそ猪突猛進に「がんばります!」とか言っていたと思いますけど、月日が経つにつれて「これはとんでもないことになったな……」と(笑)。

実際に着手しはじめてから、ジェン・デザインさんの監修やソニー・インタラクティブエンタテインメントさんのサポートを受けていくと、今回のプロジェクトには本当に色々な人が関わっているんだという実感が湧いてきて、同時に、プレッシャーがじわりと……。普段自分の作品を作っているときはインスピレーションで思うままに作っているので、ほとんどソロプレイなんです。それゆえの孤独にはある種の心地よさを感じているのですが、版権キャラクターとなると本当に沢山の人たちが関わってくれていて、今までの自分のキャリアでは感じたことのない重圧がありました。

制作風景

今回の作品で意識したことやこだわったポイントを教えてください。

『人喰いの大鷲トリコ』の魅力は、「唯一無二」という言葉に尽きます。世界観はもちろんですが、僕は“空気感フェチ”なんです。個人的に“世界観”というものはわりと簡単に出せるものだと思っているんですが、“空気感”を出すのは本当に難しいです。ここのフィールドの匂いはこんな匂いだろうな、この建物の質感はこうなんだろうな、とか。広い意味での没入感ですね。

プレイ中にトリコの羽根の軽さや手触りを感じられたり、塔の上に立つと風の強さが想像できたり。廃墟になった建物の質感、少年が裸足で歩く階段の冷たさや感触、降り注ぐ太陽の光の温度……そういったものすべてが感じられる。そんなゲームを僕は他に知りませんし、とても魅力的だなと思っています。
そういった空気感をこの作品で表現できるように取り組むことが、このゲームに対する僕なりの最大のリスペクトでした。

ポーズはトリコが崩れかけの塔から前へ飛びたとうとする瞬間を切り取っていますが、塔が崩れ落ちていく様子を映像のように捉えたくて、トリコの立っている位置の上から下にかけて崩壊が激しくなるように造形しています。サブ的な要素として、塔はトリコたちに当てるスポットライトのような役割を担っているので、もし塔の全体が思い切り壊れている造形にしたら、すべてがうるさくなってしまって、トリコたちにピントが合いません。下から徐々に崩れ落ちていく映像が、見た人の脳内で流れるようにしたかったんです。

さらに、ゲームで感じられたような、トリコと少年、そして彼らとプレイヤーとの信頼関係。物語の中で感じた「トリコならなんとかしてくれる」という信頼を、トリコと少年に託しました。トリコはまっすぐに、視線の先にあるであろう新たな足場へと狙いを定めています。そこには「希望」があり、崩れていく「絶望」とのコントラストを高めてくれています。

造形制作の手順を教えてください。また、特に大変だったという部分はありますか?

造型の手順としてはまず、原型と同じサイズのマケット(ひな型)を作って、身体のバランスやポージング、関節の角度などの感覚を掴んでいきました。そのマケットを元に、骨格となる針金を切り、アルミホイルで大まかな芯を作って、そこに粘土やパテを盛っていきます。芯にアルミホイルを使うのは、同じく軽量素材である発泡スチロールなどよりも自由度が高いからです。

スカルプト

最初にディテールを詰める部分は頭部なのですが、頭部はある程度左右対称である必要があります。
じつは僕は数年前に脳出血を起こして開頭手術を受けていて、その影響で視野に障害が残り、左右対称がわからなくなってしまったんです。
そこで取り入れたのがデジタルによる造形です。パソコンの画面上で、ペンタブレットを使ってデジタル粘土をこねていく方法なのですが、左右どちらか片側を作ると自動的に左右対称の反対側を作ることができるんです。なんて便利! そんな理由で、視野障害が残ってからは、自分のオリジナル作品でも人型の頭部に限ってはデジタルの手法を取り入れています。

ただ、今回のトリコの場合は、頭部すべてをデジタル造形しているわけではなく、頭骨のみをデジタルで作りました。それを3Dプリンターで出力し、そこに粘土を盛って筋肉や毛並みを造形していくわけですね。これが楽しい。

原型製作

原型では目にオニキスという黒い石を埋め込んでいます。トリコは真っ黒なウルウルおめめがチャームポイントなので、原型制作の時点から黒いつやつやの球体を使ってトリコという存在を掴んでいきたくて、オニキスがちょうど良かったんです。

原型では目にオニキスという黒い石を埋め込み

塔はスタイロフォームという発泡スチロールの一種を円柱に切り、粘土とパテで造形しました。模様のついた外壁のタイルは、まず一枚作り、それを複製して貼っています。あとはもうノリとグルーヴですね。たまたま剥がれ落ちたタイルをそのままにしたり、瓦礫(がれき)を粉砕して上からパラパラかけてそのまま接着したり。瞬間瞬間で作品とセッションしていくような感じですね。そういう偶然性がすごくマッチする作品でした。塔は大変だったけど、作るのは楽しかったです。壊すの好きなので。

塔の制作 スタイロフォームの芯に粘土を盛り、ノコギリで切り、崩壊する塔の形を作っていく。
階段の制作 タイルを貼り、ペンチの先端で叩いて割る。偶然の形を活かして固め、がれきの破片を振りかけて接着。

もう本当に全部が難しくて大変だったんですが、特に難しかったのは羽毛の表現です。原田さんと何度も話し合って、確か3回まるごと作り直しました。心が折れかけましたが……そのおかげで後半は羽毛を作るのがかなりうまくなっちゃって、最終的にすごく気に入った羽毛表現ができました。

羽毛表現 毛並の変遷。首の長さや後ろ足の付け根など、フォルムが変化してゆく様子も見て取れる。

造型に関しては、本当にいつもの一点物のような作り方をしています。(量産に向けて)最終的に型を取る人のことを考えていなかったというか……。あとから、型取りに9か月かかったと原田さんから聞きました。本当にすみませんでした!

「特にここを見てほしい」ということがあれば、お願いします。

原型がほぼ完成した後、台座を作るために造形作家の藤本圭紀さんに全体を3Dスキャンしていただきました。そのデータを元にして、どういう台座が合うのかとか、大きさや形のバランスをシミュレーションしながら詰めていき、藤本さんに台座を作っていただいたんです。造形作品において台座は、絵における額と同じほどに重要な部分なので、藤本さんには本当に感謝しています。

僕の作家としてのこだわりは、「想像してもらえる作品にしたい」というところです。鑑賞者を鑑賞者という立場に留まらせずに作品に介入してもらって、もっと望むならプレイヤーになってほしいんです。そのために「作り過ぎない」、言い換えれば「説明しすぎない」というところを大事にしています。そこに想像の余地が生まれていくと思うからです。

今回、台座をシンプルで主張を控えめしたことにも理由があって。台座を豪華にして装飾などを施したスタチューが、特に海外の方から喜ばれるらしいと聞いたことがあります。この『トリコ』でそのようにすると、台座の上だけで作品が完結してしまって、さらに台座が作品と鑑賞者の間でバリアのような存在になってしまいかねない。そうではなく、できる限り鑑賞者には作品の中に入ってほしい。そのために境界を感じさせない台座の形ってなんだろうと、すごく考えて。いつでも思ったときにトリコをイーソイソイ撫でられるような、そんな身近な存在としてあるような作品にしたいと思いました。

彩色についてはいかがでしょうか。こだわった部分などもぜひお聞かせください。

彩色は、立体物に命が吹き込まれるかそうでないかを決めるもっとも緊張する作業ですね。

塔は、下にいくほど徐々に白っぽくなるよう塗りました。遠くに見えるものは白く霞んで見えるという「空気遠近法」がゲーム中で演出されていたので、必ず彩色でも表現しようと。空気感が再現できて、同時に砂埃のようにも見えるし、瓦礫の崩壊加減と同じくトリコにピントを当てる役割も果たしています。さらに、全貌はわからないけど台座の下にも空間が広がっていて、すごく高いところなんだろうなと想像の余地を作ることもできるんです。

塔の彩色

通常の全てにピントを当てる塗装法は、キャラクターフィギュアには効果的ですが、トリコの空気感には合いません。例えば少年の顔は解像度が低いほうがいいと思って、目を描かずに影を軽く入れるだけにしています。ジェン・デザインさんからも「そのほうが良いと思います」と仰っていただいたので、そういう(キャラクターフィギュアと異なる、アートピースとしての)視点でご監修いただけているんだなとあらためて感じました。

少年の顔

ゲーム画面で他に印象的だったのは、ハイライトの強さです。明るい場所では白飛びするくらい強くて、とてもエモーショナルです。それをこの彩色でも表現したいと思い、太陽光が強く当たっているだろう「面」を意図的に白っぽく塗り分ける方法をとりました。トリコの背中や塔の上を向いている、光が強く当たっている面を白っぽく。影にあたるお腹側や塔の横面などは暗い色のままにするという感じです。かなり手間はかかりましたが、全体的に巨大感を演出できて、効果的にできたと思います。

あとはトリコの翼です。根本付近は黒くし、先端にいくにつれてホワイトを強くして逆光の表現を取り入れています。これがこの作品を引き締めてくれました。

完成してのご感想を伺えますか。
また、最後にこの作品を手に取られる方へメッセージをお願いします。

完成してみたら「とんでもないものができちゃったな」という感じです。何年も時間をかけたらこんなものができちゃうんだ、という感嘆と同時に、苦労したところが走馬灯のように思い出されて、関わってくれた人たちへの感謝の気持ちが湧きますね。自分でもずっと眺めていられます。

この作品を手にとってくださる方に僕が言えることはもう何もないのですが、原型制作者の願いとするならば、ぜひご自身で好きな楽しみ方を見つけてみていただけたら、これほど嬉しいことはありません。

この作品には、あなただけの楽しみ方が必ずあります。別にそれを誰かに言う必要も、SNSで呟く必要もなくて。自分なりのライティングをこだわってみたり、置く場所に意味を見出してみたり。自分の好きな音楽をかけながら眺めてもいいし、台座の上にお気に入りの石や宝物を置いてみるとか、何でもありです。旅行に連れて行って写真を撮ったり、ゲームの思い出に想いを馳せたり、楽しみ方は無限にあるのではと思います。そしてそれは、あなただけしか知りません。

ぜひあなただけの、もうひとつの『人喰いの大鷲トリコ』をプレイしてみていただけたら幸いです。

植田明志
人喰いの大鷲トリコアートスタチュー

TORCH TORCH + genDESIGN + 植田明志
人喰いの大鷲トリコ
アートスタチュー

  • 発売:2026年12月発売予定
  • 全高:約50cm(台座と尻尾を含む)
  • 材質:ポリストーン、レジン
  • 価格:229,900円(税込)
  • 企画・制作:TORCH TORCH
  • 発売:豆魚雷
  • 監修:genDESIGN(ジェン・デザイン)
  • 造形:植田明志
  • 原型制作協力:藤本圭紀