ダークソウル/ 暗月の剣のペンダントについて

2018-08-09

皆様に初めてプロトタイプをお披露目してから、ずいぶん経ちました(8ヶ月!)。
ついに「暗月の剣のペンダント」の予約受付が開始となりました。

「暗月の剣」は、「ダークソウル」一作目から存在したおなじみの誓約です。
一作目は、(リマスタードでは篝火でできるようになりましたが)誓約を変更するには特定の場所に行かなければなりませんでした。

三作目では、アイテムを付け替えるだけで気軽に誓約を変更することができるようになりました。「暗月の剣」の誓約を結ぶときに身につけるアイテムが、このペンダントです。

(ゲーム中のビジュアル)

このペンダントを手に入れるには、人付き合いに気を使ったり、信じられないようなところをこわごわ歩いていかなければなりませんが

(この人とあわてて仲良くなってはいけない)

 

(とてもこわい)

いろいろ苦労して誓約を結ぶ暗月の騎士団総長・ヨルシカさんに会い、このペンダントを受け取るときはとても嬉しいです。ヨルシカさんはすごい綺麗だ。

前任の騎士団総長・グウィンドリンさまが素敵。
「陰の太陽」という響きもぐっときます。

なにしろ、ペンダントのデザインが素晴らしいです。
ほっそりとして細かな細かな細工がされた銀の月に、凛とした剣が横たわっている。

よく「暗月警察」と呼ばれるように、闇霊に狙われて助けを求める青教の誓約者のもとに駆けつけ、闇霊を成敗するのが暗月の誓約者の使命です。(※三作目の設定)

使命、装備品、誓約を結ぶお相手といい、「ダークソウルIII」の数ある誓約の中でもっともかっこいいのが「暗月の剣」と言って言いすぎではないでしょう!(※TORCH TORCH調べ)

マジのこれが欲しいぜ! ということで、ゲームと全く同じものを作ることへのチャレンジが始まりました。

振り返ると着手が昨年の9月ですから、開発にほぼ一年をかけたアイテムということになります。
原型制作を手掛けていただいたのは、今をときめく大畠雅人さん(先日作品集が発売になったので、ぜひチェックしてみてください!)

本体の造型は、かなり早い段階で上がっていました。

これが大畠さんによる最初期の原型。着手した月の9月には、もうここまでできていたのです。

この原型をそのままテスト鋳造したのがこちらになります。

あらためて、これがゲーム中に登場するイラスト。
ご覧の通り、形状は完璧! さすが大畠さんです。

余談ですが、斜めにくっついている剣は「ロスリック騎士の剣」に形がそっくりですね。

その剣が尖りすぎていたので、元々の雰囲気を損ねないよう注意しながら形状や厚みを調整したりしました。しかし凄腕の大畠さんですから、最初期の原型からディテールの変更はほとんどありません。

問題はここからで、ペンダントですので首から下げる形にして商品にしたいです。しかしご存知の通り、ペンダントトップ以外の部分はゲーム中に登場しません。

これが昨年の12月に東京コミコンで展示したもの。ペンダントトップとチェーンの間に、逆三角形のバチカンを挟んでいます。
ペンダントトップについている輪っかが小さくてチェーンを通すことができないので、この暗月の剣用にバチカンを工房で作り起こしたのです。
※チェーンと(首の後ろの)留め金具は、この時点では既製品を使用しています。

すると、これをご覧頂いたフロム・ソフトウェアさんより「ペンダントトップの輪っかに直接チェーンを通すようにできないでしょうか(無理ならいいですが……)」というリクエストがありました。

おお、つまりそれは公式設定!

こちらとしては「本物」が欲しいわけで、意見を頂ければ頂けるほどその「本物」に近づいていきます。だったらどんどん教えてください!

(※本物が “欲しい” で、本物を “皆様のもとへお届けしたい” でなくなっちゃってるのが恐ろしいところです。だから発売がズルズル遅れる。いま反省しました)

というわけであれこれして、次のワンフェス(今年の2月)ではこのような形で飾られました。

輪っかの外周は変えず、内周を大きくして、細いチェーンを通しています。しかしどうもアンバランス。ペンダントトップの形状はゲームのそのままですが、チェーンとの釣り合いが取れていません。
輪っかが小さいのでチェーンが滑らず、アクセサリーとしての着け心地も最悪です。その通り、とりあえずのその場しのぎで飾りました。威張って言うことではない。

手探りの状態ではなんともまとまらないので、フロム・ソフトウェアさんにあるお願いをしました。

「ペンダントトップ以外のデザインをください……!」

ゲームに出てこない部分をこの商品のために作ってくれ、というなかなかなお伺いです。するとしばらくして、一枚の指示書が送られてきました!

その指示書をお見せすることはできませんが、どうすればよいかがスッキリ明らかになりました。もっと早く聞いときゃよかった。

というわけで、肝心かなめのチェーンです。
指示書どおりのものを(おもに浅草橋の問屋や小売店で)探しまくりました……が、「形状」「ペンダントトップとのバランスの良い太さ」というふたつの条件が揃ったものを見つけることはできませんでした。無いものは仕方ない。ので、特注品を用意することにしました。

そして、そのチェーンがスムーズに通り、なおかつ元イラストの雰囲気を壊さないというぎりぎりを狙って、ペンダントトップの輪っかを造型しなおしました。

そして、留め金具。
こちらはもとより、既製品で存在するはずがありません。

工房であれこれしたのですが思うようにならず、結局もうすっかり納品が済んだはずの大畠さんを呼び戻し、新規で造型してもらうことに。

さすが素晴らしい! 一発で決まりました。いつも本当にありがとうございます……。

フロムさんから帰ってくる監修は、いつも「なるべく」「できれば」「可能な範囲で」「商品の都合上こうしたいという部分がありましたら、都度ご相談ください」といった、こちらへの配慮の言葉が必ず添えられています。しかしファンとしては本物が欲しいわけですので、なにか言ってもらえたら全部そのとおりにしたい……。

そんな思いであれこれやっていたら、こんなに遅くなってしまいました。

本当にすみませんと思いつつ、最高の暗月の剣のペンダントができた! と胸も張ってしまいます。

オリジナルのデザイン(左)、そして今回の製品(左)。並べるといっそう、形状の完全再現ぶりが伝わるかと思います。そしてゲーム中に存在しないチェーンや留め具も、フロム・ソフトウェアさんによる完全監修によるもの!

ぜひ、本物の「暗月の剣のペンダント」をお楽しみください。

ご予約はこちらからどうぞ。
http://www.torchtorch.jp/darksouls/blade_of_the_darkmoon.html

それでは。

Harada